Prologue 2
『ねぇ父さん・・・ちょっと相談があるんだけど・・・』
久しぶりの休日で少し寝すぎたのか
頭がボーとしていたが
最近、ほとんど言葉を交わすことの無かった息子の
緊迫した雰囲気にただならぬ事態かと一瞬にして目も頭も覚めた。
「ど・ど・どうした?」(こっちまで緊張する)
『実は・・・バイクの免許を取りたいんだ』
「えっ!?」
『ダメかな・・・』
キッチンでは妻と娘が固唾を飲んだように見守っている
(さては二人ともグルだな・・・)
今まで特にわがままを言うわけでもなく
それなりに素直に育ってくれた
親馬鹿かも知れないが高校受験も良くがんばって
希望していた学校に入学した
「う~ん・・・どうしたんだ急に・・」
(何とか搾り出した言葉がこれかよ)
息子はしっかり且つ淡々と話し出した。
高校に入って直ぐにバイトを始めたこと
成績をクラス上位に維持していること
何よりも虚弱体質だった身体を毎日のトレーニングで
鍛え上げていたこと・・・
すべてこのためだったとは
少し親として恥ずかしくも思えてしまった。
「わかった。」
「ただし・・・俺も取る!」
『えっ・・・え~~~!?なんで!?』
「実は前々からバイクに乗りたいな~と思っていたんだけど」
「なかなかきっかけがなくてな・・・」
「いいきっかけになったよ!」
こうして親子での教習所通いが始まった。
私は自動車の免許を持っているので学科は免除されるものの
仕事の合間を縫っての実施教習は
時間との戦いであった。
会話も少なくなっていた我が家に
活気が戻ってきた(大げさだが・・・笑)
食事の後は決まって教習所の話やバイクの話
息子はもう買うバイクも決めているようだ
KAWASAKI Ninja250
わたしも既に決めている。
DUCATI 959 PANIGALE
妻はというと・・・
同居していた両親も既に他界し
そろそろリフォームする予定だったので
手入れの大変だった庭にリビングから繋がる
ガレージを造ると言い出した。
しかもバイクが4台入る大きさで!と・・・
「???」
なんと娘が16歳になったら
今度は女性チームが免許を取りに行くと・・・
そして・・・ようやく苦労して(苦労してたのは私だけだが・・・汗)
めでたく親子ライダーの誕生!
桜の花が2回ほど咲いたある日
《ただいま~!!!》
元気な三人の声が玄関から響き渡った
妻と娘は普通自動二輪の免許証を
息子は大型自動二輪の免許証を片手に並んでいた
リフォームで完成したインナーガレージには
私がピカピカにしたバイクが4台並んでいる。
そして・・・今夜の食卓も
いつものように
週末の家族ツーリングの話で盛り上がっている。
大好きな趣味を見つけて駆け出しましょう。
インナーガレージのある家
私たちにお話ください。
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Prologue 1
実家での法要ため、車は高速道路を走っている。
久しぶりの長距離運転だったが
通いなれた道のり故、そう遠くには感じない。
息子も娘も高校生となり
家族用にと買ったワンボックスも今となっては
妻と二人で乗ることの方が多くなった。
少しヤレてきた感じもするが
まだまだ元気に走ってくれている。
割と空いている高速道路
ストレス無く、疲れも感じないが
妻は気をつかってか
ひとりおしゃべりを続けている。
「寝てくれてもいいよ。」
『ごめ~ん うるさかった?』
「いや、大丈夫だけど」
聴くわけでもなく
ただ流しているだけのCD。
たぶん娘のものだろう。
自分にはあまり心地よい音楽ではないが
これといった好みもないので
気にもならない。
そろそろいつものサービスエリア。
妻に聞くまでも無く立ち寄るのは
もう20年も連れ添っているが故か・・・
トイレを済ませ
コーヒーを買うのも
いつもの事だ。
そしていつもなら・・・
休憩もそこそこに、車に乗り込むのだが
この日は違った。
『ねえパパ見て』
「ん?」
『あのバイク、女の人が乗ってるんだ~』
「あ~。そうみたいだね」
『大きいな~なんてバイクなんだろう?』
『あっ!わかった!SUZUKIだ!』
「笑!半分正解かな」
『え~どうして?』
「うちの車は 何?」
『ノアでしょ』
「そう トヨタのノアね」
『えっ!バイクにも名前が有るの?』
「うん まあ名前というか・・・あれは隼(ハヤブサ)っていうバイク」
「正式にはGSX1300Rハヤブサ」
『パパすご~い!さすが~』
すこし、いや随分驚いた・・・
妻とバイクの話をするなんて
自分が昔乗っていたことは写真を見て知ってはいただろうが
あえてそんな話題は一度も出たこともないし
多分、子供たちも知らないだろう。
休憩を済ませ、本線に合流した。
少し軽快に・・・
珍しく気分が高揚しているのを自分でも感じ取れた。
アクセルも、いつになく踏む量が大きくなっていた。
そして滅多に入らない追い越し車線へとウインカーを出そうとしたとき
1台のバイクが
左手を少し上げながら軽快に追い抜いていった。
白のフレアパターン
カワサキZX-14Rオーリンズエディション。
『気持ちよさそ~う』
『あの白いバイクは知ってるよ。』
「えっ?」
『カワサキの・・・パパが気になっているバイクでしょ。』
「えっ!えっ!」
「なんで?どうして?」
本当に驚いた。
そう。これもいつもの・・・
娘が貰ってきたわんこ。
コロの散歩は夫婦の時間でもあるのだが
散歩コースにカワサキのバイクショップがある。
まあ、敢えてこの道を選んでいる節もあったのだが・・
初めてこのカワサキZX-14Rを観た時から・・・
それ以来いつも心の中でイメージしていた。
再び、疾走っている自分の姿を・・・
立ち止まって観ている訳でも無く
ただ毎日、目で追っているのを妻はちゃんと観ていたのであった。
『ねえパパ・・・』
「何?」
『二人でバイクに乗ってドライブに行こうよ!』
「えっ!タンデ・・・いや、二人乗りで?」
『違うよ~2台で!』
「え~~~~~~~!!!」
よくよく妻の話を聞いていると
突発的でも無いようだった。
今までゴルフや趣味に講じることも無い
賭け事やお酒もしない・・・
したいことも我慢しながら頑張ってくれてきたと・・・
妻の買い物に付き合っているときも
本屋でバイク雑誌を秘かに熟読していることも
ばれていたようだった。
前々から自動車教習所での資料も取り寄せていた様で
『つめて頑張ったら1ヶ月もすれば私もライダーよ!』と・・・
新車とまではいかないまでも
大凡の費用もカワサキショップで調べていたらしく
さらに驚かされたのは、自分の乗るバイクまでちゃっかり相談していたこと!
なんとカワサキのW800!大型免許を執るつもりのようだ。
『お金の事なら大丈夫よ!ちゃんと2台買える様に計算してあるから!』
悶々としていた感情が一気に溢れ出してきた。
再びバイクに跨る事をよしとする訳も無いと思い込んでいた
いや、そんなことより、自分の想いをしっかり気づいてくれていたことに
恥ずかしいながら、少し涙が出そうになった。
「でも・・・これからお家も建てるのに・・・」
『大丈夫よ!そこも計算してあるから!だって・・・』
『お家を建てるのはもっと家族の・・・』
『より楽しく暮らして生きたいから!』
『でね・・・実はこんなお家に・・・』
ようやく桜がちらほら咲き始めた
心地よい休日の朝・・・
大学生の娘は何やらおめかししている。
デートの様だ。
息子は就職が決まり一人暮らしを始めた。
妻は少し寂しげ・・・感は全くなく
庭先でコロの運動に付き合っている。
私はというと・・・
妻の設計したこの最高のリビングで
コーヒー片手に・・・バイクを眺めている。
『パパー!そろそろ準備しておいてよ!』
『今日は伊豆まで疾走しるんだから!』
一生懸命仕事も子育てもがんばってきた。
そして・・・
第二の人生のスタートです!
大好きな趣味を見つけて駆け出しましょう。
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ご夫婦の今までの人生を・・・
そして・・・これからの人生を。
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